英国のSEO・AI検索支援会社The SEO Worksは、95サイトのGA4データを使った「AI Referral Traffic Benchmark」を公開した。対象期間は2025年9月から2026年8月の12か月間である。発表日はページに記載がない。
AIアシスタント(ChatGPT、Claude、Gemini、Perplexity、Copilotなど)経由のセッションは72,095で、自然検索の2,825,594セッションの約1/39、割合では2.6%にとどまった。一方、転換率はAI経由が7.18%、自然検索が6.08%で、プール値の比は1.18倍(中央値1.21倍)だった。B2Bの製品サイトのみ0.62倍と逆転している。
同社は、2026年5月以降にAIと自然検索の流入差が約44倍から約33倍へ縮んだと報告し、ChatGPTが5月7日ごろに回答内のブランド名をクリック可能にした影響を仮説として挙げている。ただし根拠は4か月分のデータにとどまる。Google AI Overviewsのクリックは通常の自然検索として計上されるため、集計には含まれない。AI流入の判定は参照元ドメインの照合による。
なぜ重要か
AI経由の流入は量では自然検索に遠く及ばないが、訪問後の成果は劣らないことを示す一つのデータである。AIへの対応を流入数だけで評価すると、実態より小さく見える可能性がある。
ただし、調査は英国の95サイトが対象で、日本企業にそのまま当てはまるとは限らない。公表元はAI検索支援を売る事業者であり、転換は複数計測するGA4のイベント数なので上限値でもある。AI Overviews経由の効果は見えない。自社サイトで、AIアシスタントの参照元別のセッションと転換を分けて計測し、自社の数字で判断する準備が先になる。
出典:The SEO Works「AI Referral Traffic Benchmark」(2026年9月ごろ、公表日の記載なし) 関連報道:Search Engine Journal「4 Datasets On AI Visibility」
Brave SearchのクローラーについてのヘルプページはBraveが公開している。同ページによると、クローラーは独自のユーザーエージェントを名乗らない。Googleだけにクロールを許可しているサイトを差別しないためだという。Googlebotでクロールできないドメインやページは、Braveのクローラーも取得しない。robots.txtはインデックスの防止には使われず、掲載を外す手段として案内されているのはnoindexである。
Search Engine Journalは2026年11月6日の記事で、Braveが検索インデックスをAPI(Brave Search API)経由でAI企業に提供していると解説した。同誌によれば、2026年11月2日にニューヨーク・タイムズがBraveを提訴し、別の新聞社も同日に訴えた。訴状ではAnthropic、Perplexity、Mistral、xAI、Cohereが関連して挙げられているが、被告ではない。Braveの回答は記事の時点で確認されておらず、訴えの内容は立証されていない。訴状本体は今回確認できなかった。
なぜ重要か
AIの回答が、自社サイトを含む検索インデックスを素材にしうることを示す事例である。Braveのヘルプの記述に従えば、Braveへの掲載だけを個別のクローラー指定で止める手段はない。noindexは他の検索面での掲載にも影響しうる。
日本企業にとっては、AI検索で見られたい情報と、AIに使われたくない情報を分けて扱う必要がある。公開ページの方針は、AIクローラー別の設定、noindex、会員向け領域の分離などを含めて整理しておきたい。ただし、日本企業のサイトが実際にBraveの経由でAIに提供されているかは、今回確認できない。訴訟の結果も未定である。
出典:Brave Search ヘルプ「Brave Search crawler」 関連報道:Search Engine Journal(2026年11月6日)
Today's Insight
AI経由の流入は小さく測りにくいが、情報の使われ方まで含めて管理する段階に入った
今日の2本は、AIと企業サイトの関係を二つの側面から示している。一つは、AIアシスタントからの流入が量と質でどう見えるか。もう一つは、サイトの情報がAIの素材にどう流れるかである。
SEO Worksのデータでは、AI経由の流入は自然検索の約1/39にとどまるが、転換率は1.18倍だった。量だけを見れば優先度は低く、成果で見れば無視できない。この食い違いは、評価指標の置き方で判断が変わることを意味する。さらにAI Overviewsのクリックは自然検索に混ざるため、AIの影響の全体像は計測上も見えにくい。
AIの影響は、流入数だけでなく、参照元別の転換まで分けて測らなければ評価できない。
Braveの件は、サイトの情報が検索インデックスを通じてAIに渡りうる点を示す。ヘルプによれば、Googlebotに許可した内容は、Braveのクローラーにも許可として扱われる。見られたい情報を出す設定は、使われ方の管理と切り離せない。ただし訴訟の内容は報道ベースで、Braveの主張は未確認である。
AI時代のサイト運営は、見つけてもらう施策と、使われ方の方針を、同じ設計の中で決めることである。
日本企業が取れる行動は具体的である。自社のGA4でAIアシスタントの参照元を分けて計測する。公開情報のうち、AIに積極的に出すものと出さないものを整理する。その上で、AI経由の成果を自社のデータで検証する。海外の調査や訴訟は、判断の材料であって結論ではない。