LINEヤフーは2026年10月27日、法人向けイベント「LINEヤフー BIZ Conference 2026」で新プラットフォーム「LINEヤフー Business OS」を発表した。顧客との出会いから購入までの顧客体験(CX)と、その裏側の関係構築・業務運営・分析・施策運用(BX)を一つの基盤で支えるもので、LINE公式アカウントはAIが企業活動を支援する「ビジネスエージェント」へ進化させるとしている。
その中核の一つとして、企業が商品情報を登録・管理する「ビジネスマネージャー 商品管理」の提供を始めた。登録した商品情報は「Agent i」や「Yahoo!検索」の検索結果に表示され、「LINEヤフー広告」を通じて広告枠にも掲載できる。法人向けのお知らせによれば、提供開始は10月26日で、商品データはTSV形式の商品フィードで登録し、掲載前に審査がある。ビジネスマネージャーの組織認証が必要で、既存のLINE Merchant Systemの検索広告(ショッピング)アカウントはそのままでは利用できない。
同時に発表された今後の製品は次のとおりである。企業の情報をAIが読み取り、誕生日や購入履歴などをきっかけに利用者へ働きかける「LINE公式アカウント AIモード」は、2026年11月から一部企業を対象に先行リリースする予定である。広告からLINE公式アカウントへ誘導する「チャット誘導広告」は2026年12月に提供開始予定で、Phase2以降にAIによる対応やクーポン・フォームへの遷移を加える計画である。
なぜ重要か
LINEヤフーが、自社のAIエージェント(Agent i)、検索、広告に流れる商品データの入口を一つにまとめた。これまでサービスごとに管理していた商品情報が、AIの回答・検索結果・広告の共通の材料になるため、商品フィードの網羅性と正確さが、国内のAI経由の露出を左右する要素として明確になった。
LINE公式アカウントのAIモードとチャット誘導広告は、広告で接点をつくり、公式アカウント上の会話で購入や来店につなげる導線をAIで自動化する構想である。いずれも提供前の段階だが、Yahoo!ショッピングやLINEで販売・集客する企業は、商品フィードの整備と組織認証を先に済ませておくことが、今後のAI機能を使うための前提になる。
出典:LINEヤフー for Businessビジネスマネージャー「商品管理」に関するお知らせ(2026年10月7日掲載、10月27日更新) 関連報道:MarkeZine(2026年10月29日)
Googleは2026年10月28日、企業や開発者が自社アプリの機能をGeminiとGoogle検索に組み込むための「Connected Apps Platform」をプレビューとして公開した。開発者はクラウド上のMCPサーバー、またはAppFunctions APIを使うAndroid MCPで接続し、「Google Connected Console」でアプリの登録・テスト・申請を行う。
公開先は、審査前に「検索」「Geminiアプリ」「両方」から選べる。公開後はトラフィック、レイテンシー、エラー率を確認でき、認証済みロゴやアカウント連携などのブランド表示も管理できる。
Googleによれば、検索とGeminiで公開済みのConnected Appsは50を超える。Adobe、Experian、Localiza、PelotonはGeminiで利用可能になっており、今後数週間で検索にも対応する。提供は段階的で、対象の開発者・市場・Google製品を今後数か月で広げるとしている。日本での提供時期は示されていない。
なぜ重要か
これまで一部の提携企業に限られていた、GeminiやAI検索の中で外部サービスを直接操作させる仕組みが、一般の開発者に開かれ始めた。利用者が検索やGeminiから離れずに予約や作成などの操作を完了できるようになれば、企業にとっての接点は「自社サイトへの流入」だけでなく「AIの中で自社機能が呼び出されるか」にも広がる。
接続方式がMCPである点も重要である。Shopifyなど他社のエージェント対応もMCPを軸に進んでおり、日本企業が自社サービスをMCPで公開しておけば、GoogleのAI面を含む複数のAI経由の導線に対応しやすくなる。日本での提供時期は未定だが、トラフィックやエラー率を計測できる設計は、AI経由の利用を成果として測る手がかりにもなる。
出典:Google Blog「Build and manage Connected Apps in one place」(2026年10月28日) 関連報道:TechCrunch(2026年10月28日)
Today's Insight
AIの「入口」が増えるほど、企業側の「出口」を一つに束ねる設計が問われる
今日の2本は、日本の大手プラットフォームと米Googleが、AIを通じて企業と利用者をつなぐ入口を同じ週に整えたことを示している。
LINEヤフーは「ビジネスマネージャー 商品管理」で、商品情報をAgent i、Yahoo!検索、LINEヤフー広告に一元的に配信する仕組みを始めた。11月には公式アカウントのAIモード、12月にはチャット誘導広告が控える。Googleは「Connected Apps Platform」で、MCPを使って外部アプリの機能をGeminiと検索に組み込む手段を一般の開発者に開き始めた。
両者に共通するのは、AIの回答面や広告面が増えるたびに企業が個別に対応するのではなく、一つの登録・接続を複数の面に再利用させる設計を取っている点である。LINEヤフーは商品フィード、Googleはアプリ機能という違いはあるが、いずれも「企業が構造化して渡したもの」だけがAIの中で使われる。
AI時代の露出は、各AI面への個別対応ではなく、商品データと機能を一度正しく構造化して配る力で決まり始めている。
日本企業にとっての示唆は三つある。第一に、Yahoo!ショッピングやLINEで集客する企業は、商品フィードと組織認証を整え、AIモード等の先行提供に備えること。第二に、予約・申込・会員機能などを持つ企業は、MCPでの公開を、特定のAIに依存しない共通の接続口として検討すること。第三に、両者とも計測(Googleはトラフィックやエラー率)を用意しているため、AI経由の露出・利用をどの指標で追うかを先に決めておくことである。
AIの入口が増える局面では、入口ごとの施策より、データと機能の「出口」を一つに束ねて管理することが、成果を測るうえでも出発点になる。