訪日ラボと店舗管理基盤「口コミコム」を運営する株式会社movは2026年10月29日、「口コミコム AI検索対策(AIO/LLMO)エージェント」の提供を始めたと発表した。同社が9月に提唱した、AI時代に利用者が店舗を選ぶまでの6段階の行動モデル「AICRAS」に対応する支援サービスの第一弾である。
エージェントは、ChatGPTとGoogleのAIを横断した計測、AICRASに沿ったKPI(登場率、順位、推奨シェア)の継続的な追跡、引用元の分析、感情分析、訪日ラボ由来のインバウンド向け機能を備える。対象は飲食、小売、宿泊の店舗事業者である。提供開始に合わせて、自店舗のAIでの紹介状況を調べる無料診断も受け付ける。料金は発表に記載がない。
同社は根拠として自社調査を挙げている。AIが推奨した選択肢のうち、実際に来店または購入に至った割合は、飲食60.0%、宿泊55.2%、商品59.5%である。AIで店舗を知った後にGoogleマップを確認した人は飲食46.0%、宿泊49.4%、アパレル34.8%、他のプラットフォームで口コミや評判を再確認した人は飲食45.4%、宿泊62.9%、アパレル40.3%だった。調査の回答者数は、飲食483人、アパレル600人と脚注に記されている。
出典:訪日ラボ(mov)発表記事(2026年10月29日)
Googleのヘルプによると、ビジネスプロフィールの所有者または管理者は、GeminiのWeb版(gemini.google.com)から自店舗のプロフィールを操作できる。営業時間、連絡先、アクションリンク、メニュー、写真、属性の更新、レビューへの返信、投稿の作成、レビューの要約、パフォーマンス指標と検索キーワードの確認が可能である。
利用条件は厳しい。確認済みのビジネスプロフィールを1件だけ管理していること、18歳以上であること、個人のGoogleアカウントでGeminiにログインすること、Gemini側の「保存されるアクティビティ」をオンにすることが必要である。2件以上のプロフィールを管理する所有者・管理者は対象外で、ヘルプは職場・学校アカウントでは「現時点では」使えないとしている。対応地域は「Geminiのウェブアプリが対応する地域」と記され、国や言語の一覧はない。
Search Engine Journalによると、Googleは11月5日付のスモールビジネス向けの案内で、Google Workspaceアカウントでビジネスプロフィールを管理する事業者もこの機能を使えるようになると案内した。ただし同誌は、ヘルプ側がWorkspaceアカウントを引き続き対象外としており、案内とヘルプに食い違いがあると伝えている。同じ案内には、チャットを設定したプロフィールのGoogleマップ上に「電話」の隣へ「メッセージ」ボタンを出す変更も含まれるが、チャットの提供は一部地域に限られる。
出典:Googleビジネスプロフィール ヘルプ「Geminiでビジネスプロフィールを管理」関連報道:Search Engine Journal(2026年11月5日付報道)
Today's Insight
AIが店を選ぶ時代の集客は、「AIに何と言われているか」の計測と「根拠となる公式情報の整備」を一組で考える必要がある
今日の2本は、店舗や拠点を持つ事業者の集客を、AIの側から見る道具が増えていることを示している。movは、ChatGPTやGoogleのAIが店舗をどう紹介しているかを継続的に測るサービスを出した。Googleは、店舗の公式情報の置き場であるビジネスプロフィールを、Geminiから更新・分析できるようにした。前者は「AIに何と言われているか」の計測、後者は「AIの根拠になりうる情報」の整備に当たる。
movの調査では、AIで店舗を知った後も、Googleマップや他の口コミで再確認する人が多い。AIの回答に登場することだけでなく、マップ上の情報と評判が整っていることが、来店や購入の最終判断に関わることを示唆する。ただし数値は同社の自社調査であり、因果関係まで示すものではない。
計測と整備のどちらかだけでは足りない。AIでの紹介状況を測り、その根拠となる公式情報を保つことを、一つの運用として回す必要がある。
実務上の手順は単純である。まず自社の店舗名や商品がAIの回答にどう出るかを確認する。次に、ビジネスプロフィールの営業時間、メニュー、連絡先が最新であるかを点検する。最後に、AI経由の来店・問い合わせを、既存の計測にどう結びつけるかを決める。Geminiの機能には複数拠点の所有者が対象外といった条件があり、日本での提供状況も確認できていないため、公式ヘルプの確認が前提になる。
AI経由の集客は、見え方を測る仕組みと、見られる情報を整える運用の両方を持つ事業者から成果が出る可能性が高い。