StoryHub株式会社は10月20日、55カテゴリー・527ブランドを対象にAIの回答を分析した「AIO分析レポート vol.1」を公表した。同社のAIOツール「StoryHubインサイト」(10月5日にベータ版を開始)の登録特典として提供する。
計測は10月19日。449の利用シーン(CEP)と1,397の質問文を、APIで利用できるGPT(GPT-6 Luna)とGemini(Gemini 3.5 Flash-Lite)にWeb検索あり・なしで各4回投げ、約2万件の回答を得た。
Web検索時に引用されたページは、GPTでは約6割が企業の商品・サービスページ、Geminiでは約7割が比較・ランキング記事だった(引用件数はGPT 15,010件、Gemini 23,439件)。
同じ質問を再度投げると回答に挙がるブランドの約3割が入れ替わり、言い回しを変えると入れ替わりは4割を超えた。GPTとGeminiが最初に挙げたブランドが一致したのは約4割だった。
同社は、カテゴリーや質問文はAIで生成した初期設定であり、API経由の結果はChatGPTやGeminiのアプリと異なる可能性があるとしている。
なぜ重要か
同じ「AI検索対策」でも、GPTでは自社の公式ページ、Geminiでは比較・ランキングサイトでの扱いが回答を左右しやすいことが、日本語の大規模データで示された。AIごとに整備すべき情報源が異なる可能性がある。
回答の約3割が再質問だけで入れ替わる以上、1回の質問で「AIに推薦された・されなかった」と判断するのは危うい。日本企業がAIでの言及を測る際は、同じ質問を複数回・複数の言い回しで計測し、割合として見る必要がある。
出典:StoryHub株式会社 プレスリリース(2026年10月20日)
CloudflareとOpenAIは10月15日、7月に始めた研究パイロットの初期結果をCloudflareの公式ブログで公表した。記事はCloudflareとOpenAIの担当者3名の共著である。
Cloudflareのネットワークの約1%を対象に、ページの発見・更新・重複や存在しないURLなどを示す信号をOpenAIの検索クローラーに提供した結果、OpenAIは「数億」の新しいWebページを発見し、検索インデックスに加えた。
他サイトからのリンクが少なくても有用なページの発見に役立つとしている。また、正規サイトに仕込まれた偽のログインフォームのような有害ページを、ドメイン全体ではなくページ単位で検出する信号もテストしている。
両社は「ページに関する信号はアクセスの許可を意味しない」とし、利用するのは検索と発見のためのメタデータで、モデル学習用のページ内容ではないと説明した。今後はページ選定の改善、より速い更新信号のテスト、発見後の成果の測定を進めるが、広い提供の時期は示されていない。
なぜ重要か
AI検索に載るかどうかは、従来は被リンクやクローラーの巡回に依存していた。CDN事業者のネットワーク信号が「発見」を補うようになれば、被リンクの少ない製品マニュアルや店舗情報、料金ページもAI検索の候補に入りやすくなる。
ただし、インデックスへの追加は引用や流入を保証しない。パイロットでの引用数や送客数も公表されていない。日本企業は、OAI-SearchBotなどAIクローラーへの許可設定と、更新日・重複URLといったサイトの基本的な状態を確認しておくことが先決である。
出典:Cloudflare公式ブログ(2026年10月15日) 関連報道:Search Engine Journal(2026年10月20日)
中国のDeepSeekは10月17日、自社の検索エンジンをSearch API・Fetch APIとして全ユーザーに開放した。更新履歴によると、同エンジンは数千億のWebページをインデックスし、世界中から1日数億件の検索リクエストを処理している。
同社は更新履歴で、厳格な検出の仕組みによって「SEOスパム、GEO操作、低品質なAI生成コンテンツ」を除外すると明記した。ただし、GEO操作の定義や検出方法は示していない。
検索結果には、権威性の階層(0〜4、-1は不明。3以上が最も信頼できる情報源)と、関連性・権威性・鮮度を組み合わせた再順位スコア(0〜3、1.5以上を高品質)が付く。言語や公開日での絞り込みにも対応する。
料金はSearch・Fetchとも成功1,000件あたり0.75ドル。DeepSeek Harness、Claude Code、Codexからのサーバー側呼び出しは当面無料で、課金は北京時間11月1日に始まる。
なぜ重要か
AI検索の事業者が「GEO操作」を明示的に排除対象に挙げたのは注目に値する。低コストの投稿でAI回答を誘導する手法は、主要な検索基盤ほど検出と除外の対象になっていく可能性がある。
また、検索結果に権威性の階層が数値で付くことは、他のAIエージェントもこの評価に基づいて情報源を選ぶことを意味する。日本企業にとっては、自社の情報が第三者から見て信頼できる情報源として扱われるかどうかが、AI経由の露出を左右する要素になりつつある。
出典:DeepSeek API Docs 更新履歴(2026年10月17日) 関連報道:Search Engine Journal(2026年10月19日)
Today's Insight
AI検索の「入口」と「選別」が、それぞれ別の仕組みで動き始めた
今日の3本は、AI検索の回答が作られるまでの工程を、入口から出口まで順に見せている。どのページがAIに見つかるか、見つかったページのうちどれが信頼できると判定されるか、そして最終的にどのブランドが回答に挙がるか、である。
入口では、CloudflareとOpenAIのパイロットが、被リンクではなくネットワーク上の信号によって数億ページをChatGPTの検索インデックスに加えた。選別では、DeepSeekが権威性の階層を数値で付け、「GEO操作」を除外すると明記した。どちらも、AIが何を読むかを決める仕組みが、検索エンジン単独ではなく複数の層で作られつつあることを示している。
出口側の実態を示したのがStoryHubの分析である。GPTは公式サイトを、Geminiは比較・ランキング記事を多く引用し、同じ質問でも回答のブランドの約3割が入れ替わった。AIごとに参照先が違い、回答そのものも揺れる。
AI検索での可視性は、もはや一つの施策で決まるものではなく、「発見される」「信頼される」「回答に挙がる」の三段階を別々に点検する対象になった。
日本企業にとっての実務的な示唆は二つある。一つは、発見と信頼の段階では、AIクローラーへのアクセス許可、更新情報の正確さ、第三者の比較サイトでの扱いといった地道な基盤が効くこと。DeepSeekが示したように、量で回答を誘導する手法は除外の対象になりやすい。
もう一つは、成果の測り方である。回答が再質問で3割入れ替わる以上、単発の確認では判断を誤る。AI経由の顧客獲得を評価するには、複数のAI・複数回・複数の言い回しで言及率を継続的に計測し、変化を傾向として読むことが前提になる。