株式会社MERYは10月9日、全国の15〜30歳の女性を対象とした「Z世代の購買に関するMERYアンケート」の結果を公表した。調査期間は2026年9月1日〜3日、インターネット調査で、事前調査2,000名、本調査はカテゴリーごとに各300名である。
生成AIチャット(ChatGPT・Gemini・Copilotなど)の利用経験者は61.1%だった。商品選びにAIを使った経験は日用品67.7%、コスメ62.3%、ファッション56.0%、飲料食品44.3%である。
一方、「AIの回答だけで決めて、そのまま購入した」はコスメ17.6%、日用品6.9%、ファッション7.7%、飲料食品9.0%にとどまった。SNSや口コミアプリでの裏取り、店頭での実物確認を経て購入する回答が多かった。
AIの回答とSNSの口コミが食い違った場合、全カテゴリーでSNS寄りの回答がAI寄りを上回り、ファッションは53.3%、飲料食品は57.7%がSNS寄りだった。
なぜ重要か
若年層の購買では、生成AIが「候補を絞り込む・比較する相談相手」として検討段階に入り込んでいる一方、最終判断はSNS・口コミ・店頭が担っている。AIでの露出だけを追っても、購入までの経路は完結しない。
日本の消費財・コスメ・アパレル企業にとっては、AI回答で候補に挙がることと、その後に参照されるSNSやレビューで評価が裏付けられることの両方を設計する必要がある。
出典:株式会社MERY プレスリリース(2026年10月9日) 関連報道:Web担当者Forum(2026年10月19日)
朝日新聞グループの株式会社4XとGEO事業者の株式会社Z Creative Partners(ZCP)は10月19日、協業による記事広告商品「AIレピュテーション・プログラム」を発表し、同日から4Xが運営するCNET Japanで提供を開始した。
生成AIが回答の材料として取り込みやすい構成で記事を制作・掲載し、AIの回答の中でブランドがどう語られ、薦められているかを独自指標「AIレピュテーション指数」で測定・報告する。指数はZCPのAIブランド評価フレームワーク「VSCA™」(特許出願済)を基礎とする。
標準の対象AIはChatGPT、Gemini、PerplexityまたはClaudeの3サービス。価格(税別、3サービス・3テーマ想定)はアセスメント50万円、記事1本80万円、レポート1回50万円である。
両社は、事実に基づかない誘導や生成AI向け専用ページの作成は行わないとしている。今後はZDNET Japanなど4Xの他媒体への展開を予定する。
なぜ重要か
記事広告の成果指標が、PVや読了率といった「人の来訪」から「AI回答の中でのブランドの扱われ方」へ広がり始めた。媒体社がGEO事業者と組み、測定を含めて商品化した点が新しい。
広告主にとっては、第三者媒体での掲載がAI回答に与える影響を、掲載前後で比較できる枠組みが出てきたことになる。ただし効果の大きさは公表されておらず、指数の算出方法と観測期間を確認したうえで評価する必要がある。
出典:株式会社4X プレスリリース(2026年10月19日)
復旦大学などの研究者は10月8日、AI検索の引用元の脆弱性を測定した論文「From Public Posts to AI-Search Citations: Measuring the Fragility of AI Search」をarXivで公開した。
10のAI検索サービスにおける17,211件の引用(6,356ドメイン)を分析したところ、各サービスの引用の20.5%〜70.8%が上位20ドメインに集中していた。
研究者がよく引用される投稿サイトに架空の概念の記事を掲載したところ、10サービス中8つが7日以内にその概念を引用した。対象にはChatGPT、Perplexity、Grok、GoogleのAIが含まれる。
引用されやすいサイトへの1本の記事は、引用されにくいサイトへの20本超の投稿より大きな影響を持った。14ドルのGEO投稿サービスで13本の投稿が行われ、1つのサービスは1時間以内にその内容を引用した。
なぜ重要か
AI検索の回答は、少数の「よく引用される媒体」に強く依存しており、掲載場所によって影響力が大きく異なることが数値で示された。
同時に、低コストの投稿で回答を誘導できる余地があることも明らかになった。検証対象は実在ブランドではないため、そのまま当てはまるとは限らないが、競合や第三者による誤情報がブランドの回答に入り込むリスクとして、日本企業もモニタリングの対象に含めるべきである。
出典:arXiv: From Public Posts to AI-Search Citations(2026年10月8日) 関連報道:Search Engine Journal(2026年10月19日)
Today's Insight
AIが「どこを読むか」が、ブランドの信頼を左右し始めた
今日の3本は、立場の異なる三者から同じ構造を示している。AIは企業のサイトだけでなく、第三者の媒体やSNS、口コミを経由してブランドを理解し、消費者はAIの答えをさらに別の情報源で確かめている。
復旦大学などの論文は、AI検索の引用が少数のドメインに集中し、引用されやすい場所への1本の記事が、そうでない場所への20本超の投稿を上回る影響を持つことを示した。4XとZCPの商品は、この「掲載場所の重み」を信頼性の高い媒体側から商品化したものと読める。
AI検索での可視性は、掲載量ではなく「AIが繰り返し参照する場所に、正確な情報があるか」で決まりつつある。
ただし、同じ構造は低コストの誘導にも開かれている。論文では14ドルの投稿で回答に影響が出た事例が報告された。媒体の信頼性を重視する商品が出てくる一方で、AI回答の中の自社情報が第三者によって書き換えられるリスクも現実のものになっている。
そしてMERYの調査は、AIの回答が最終判断ではないことを示した。Z世代の女性はAIで候補を絞り込み、SNSの口コミや店頭で確かめてから購入し、両者が食い違えばSNSを信じる傾向が強い。
日本企業に必要なのは、AI回答での露出・回答の正確性・その後に参照されるSNSや口コミでの評価を、一つの購買経路として測ることである。 自社がAIにどう語られているかを定期的に確認し、その根拠となっている媒体や投稿まで遡って把握することが、AI時代のブランド管理の出発点になる。